プロフィール

中野漆器(株式会社中野)

1500年の歴史を持つ鯖江で誕生

中野漆器がある鯖江は越前漆器の産地として知られており、その歴史は1500年前まで遡ると言われています。漆器関連の産業に携わるのは、ある意味当たり前。創業者の中野博さんも、そんな環境だから、当たり前のように漆器関連の仕事につき、当たり前のように独立したのでしょう。器の形になった木地を「下地」「中塗り」の一部の行程を担う工房でした。

越前漆器の一つの特徴は、業務用に使われる漆器の比率が高いことです。現在では、国内の業務用漆器の市場のおよそ9割は越前漆器が占めているそうです。しかし、洋食器などに押されて、次第に漆器の需要は落ちています。

茶道具を中心にした工房に転換

3代目社長の彰造さんは、1960年代に、早くも産地の職人として生きていくことの限界に気づき、新たな道の模索を始めました。結果、目をつけたのが、新しい文化として定着しつつあった花嫁修業。お見合いの釣りがきに記載するために「華道」や「茶道」を習う人が急増していました。そこで、中野漆器は茶道具の製造を中心に据えるようになったのです。また、製造だけではなく、卸売りも手掛けるようになりました。

2019年に、中野喜之さんが4代目社長に就任しました。子供の頃は、毎年、夏休みになると包装の手伝いをするなど、漆器に触れながら育ったそうです。そうした環境のためか、家業を継ぐことに、何の疑問も持たなかったといいます。

社会人になった中野さんの最初の仕事は、「一閑張り(いっかんばり)」の技術の習得。それは、本体に和紙を張り、その上を漆で塗り固めるといった手法で、何ともいえない風情あるでこぼこ感が出るのが魅力です。茶道具で使われる手法ですが、中野漆器には、まだ、その技術はありませんでした。そこで、中野さんは一閑張りを得意とする金沢の工房に修行に行ったそうです。ちなみに、当時、一閑張りの技術を持っている職人は全国で10数人しかいなかったそうです。

中野漆器(株式会社中野)

モットーは、「何事にも挑戦する」

残念ながら、時代の変化とともに花嫁修業としての茶道も廃れてしまい、新たな商材を探す必要がでてきました。そのためには、待ちの姿勢は禁物。どんな需要があるのか、積極的に調べ、市場に合うものを創らなければなりません。そのため、中野さんは、この世界では珍しい営業担当者を置きました。中野さん自らも経営者・職人に加え、営業マンとしても活動する三刀流で挑むことにしたそうです。

中野さんのモットーは、「何事にも挑戦する」。三刀流で、私たちにどんな漆の世界を見せてくれるのか楽しみです。

社長からの一言

中野漆器(株式会社中野) 代表取締役社長の中野喜之さん

私たちの商品開発の原点は漆器の文化をもっと日常に広げていくことです。伝統的な漆器は和食に合わせたもの。脂っこい中華料理や洋食、電子レンジや食洗器が普及している現在のライフスタイルの中で使おうとするなら、それに合わせた漆器の開発が必要です。

弊社では木製品に漆を塗る伝統的な手法から、樹脂製品の漆塗り、ウレタン塗装などあらゆる塗装方法を手掛けています。だから、日常生活で使える食器を開発するためにはどんな塗装がいいのか、様々な観点から検討できるのです。このようにすべての塗装方法を手がけている工房は少ないと思います。

もちろん、セラミックやステンレスなど材質によって作業のやり方は違うので扱うのは大変です。どうすれば、うまく塗れるのか、9人の職人たちと日々、研究です。こうした体制を整え、どんなものに漆を塗れば映えるのかを常に考えています。

そんな中で出会ったのが株式会社DESIGN WORKS AINCENTの『POKETLE』。好きな量だけをコンセプトに様々な容量のドリンクウェアを揃えたシリーズで、その中の120ml、180mlの水筒を見た時、漆を塗るなら、これだと思いました。これが、コラボ商品URUSHI POKETLE誕生のきっかけです。

漆を塗ることで越前塗りの重厚さを味わえ、しかも現代に欠かせない保温力、保冷力の機能も備えています。まさに漆器の文化をもっと日常に広げていくというコンセプトにもぴったりな商品だと自負しています。また、経年劣化で漆が剥げてきたり、筋が入ったりすれば修理も可能です。

今後も、日常生活で利用できる漆器製品を開発していきたいと思います。福井に来た際には、ぜひ、工房に立ち寄り、漆器の新しい文化が生まれてくる瞬間を味わってください。

URUSHI POKETLE

取扱商品

株式会社中野(中野漆器)

アクセス

店舗名
株式会社中野(中野漆器)
住所
〒916-1224 福井県鯖江市莇生田町10-1-1
電話番号
0778-65-0172
営業時間
9時から17時
定休日
不定期(土日を除く)

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