プロフィール

クラフトビールの魅力

金澤ブルワリーは、2015年に誕生したクラフトビールのメーカーです。一般的にクラフトビールの醸造所は、予備発酵が不要なドライイーストを使用する、あるいは、外部から酵母を購入していますが、同社は手間がかかる自社培養した酵母を使用。培養したての新鮮な酵母を使うためです。

酵母の新鮮さに拘った金澤ブルワリーのビールの特徴は、華やかな香りを楽しめること。ビールの評判は上々で、これまで使用していた醸造所は手狭になり、2023年には能登半島に第二工場もつくりました。令和6年能登半島地震では設備が一部破損するなど、同社も被災しましたが、4月にようやく復旧。増産体制に入りました。近い将来、第二工場内に見学コースや試飲スペースを設ける予定だそうです。

金澤ブルワリーが誕生したきっかけは、前社長の鈴森由佳さんがカナダ留学で飲んだ一杯のビール。それは、ジュースのような味わいで、日本の大手メーカーの苦いビールしか知らなかった鈴森さんには衝撃でした。ビールは苦手だと避けていたのが一転、クラフトビールの奥深さにぐいぐいと引き込まれていきました。
能登島醸造所

能登島醸造所

金沢にクラフトビール文化を広めたい

カナダ留学中は様々な地域、様々な店、またビール関連のイベントにも顔を出し、カナダに根付いたビール文化をじっくりと楽しんできました。帰国後、改めてクラフトビール市場を意識すると、関東圏には、すでに多くのクラフトビールの醸造所が誕生し、国内外の様々なクラフトビールを出しているレストランやバーも増えていました。それに対して、石川県では、さほどクラフトビールは浸透していなかったし、金沢にはクラフトビールの醸造所もありませんでした。金沢の人たちにも、ぜひ、クラフトビールの素晴らしさ、楽しさを知って欲しいと思い、クラフトビールの醸造所を作りたいと考えたそうです

もちろん、醸造の知識はないので、まずは研修生の受け入れに積極的な東京のブルワリーで研修を受けました。他に研修生は7名。いずれもクラフトビールで地元を盛り立てたいという強い想いは共通で、非常に刺激になったそうです。お互いの醸造所を見学しあったり、イベントで再会したり、取引先の情報交換をしたり、現在でも交流が続いているメンバーもいます。 東京での研修中は、個性的なクラフトビールを扱う店を巡ったり、醸造の世界で知られている人に話を聞きに行ったり、積極的に情報収集もしながら、どんなビールを作るのか探っていったといいます。

こうした中で知ったのが、酵母の大切さ。新鮮で元気な酵母でなければうまく発酵が進みません。一方、様々な酵母をもてば、ビールの味の幅は広がります。そこで、酵母を自社培養することに決めたそうです。酵母に詳しい醸造の専門家に教わりながら、何とか自分で培養できるようになりました。現在では20種以上の酵母の培養が可能です。それが金澤ビールの深い味わいにつながっているのです。

金澤ブルワリー

Interview 社長インタビュー

急激な成長を遂げている金澤ブルワリー。2024年11月、創業者の鈴森由佳さんからバトンを受け取り、多々見まみのさんが新社長に就任しました。次のステージに向けて、どのようなかじ取りをしていくのでしょうか。多々見社長にお話を伺いました。

社長の多々見まみのさん 社長の多々見まみのさん

飲食店経営のベテラン

飲食店経営のベテラン

── 最初に、金澤ブルワリーの社長に就任したきっかけから教えてください。

多々見
不動産事業なども手掛けている金澤ブルワリーの藤田一郎会長とは、金沢青年会議所の同期入会。 その他、いくつかの経済団体でも一緒に活動していました。 前社長の鈴森さんが退任を決めた頃、ちょうど私がフードコンサルティング会社を起ち上げたため、白羽の矢がたったのだと思います。

── それまでは、飲食店の経営もなさっていたそうですね。

多々見
父が居酒屋や料亭などを経営していたため、それを引き継ぐ形で飲食業界に入っていきました。 その後、飲食業の経営は夫に任せ、私はコンサルティング事業に専念するようになったのです。

── なるほど。そういう縁だったのですね。ちなみに経営されているのは、どのようなお店ですか?

多々見
『季節の料理と和み酒 十二の月』という名の和食店で、四季折々に変わる食材を使ったお料理を提供しています。『十二の月』は、一年12個の月々の美味しいものを召し上がっていただきたいという思いで名付けた屋号です。

── お話を伺っているだけでも美味しそうですね。

多々見
食材だけでなく、お飲み物や店内の内装にしてもすべてがおもてなしだと思って店づくりをしております。

趣味が高じて唎酒師の資格取得

趣味が高じて唎酒師の資格取得

── ところで、多々見社長は、日本酒アドバイザーと唎酒師の資格を持ち、また、ワインにも詳しいという記事を拝見しましたが。

多々見
もともとはワインを好んでいただく事が多く、日本酒はどちらかというと苦手でした(笑)。 しかし職業柄、日本酒についてはお客様から色々聞かれることもあるので、きちんと勉強しておきたいなと思っていた時に、取引先の酒屋さんから蔵見学の誘いがあったのです。 初めて酒造りの現場に触れ、酒造りの奥深さ、繊細さを知り、すっかり魅了され、ついに唎酒師までたどりついてしまいました。

── 日本酒のイベントも開催しているそうですが。

多々見
唎酒師の資格を活かす良い方法がなかなか見つからなかったことがきっかけです。 それならいっそ、自分主催の日本酒の会を開催すればいいのではと考えたのです。 ペアリングなど、お酒の面白さを知っていただく場を設けたのですが、伝える事の難しさに直面したり、非常にいい勉強になりました。

「金沢ブランド」を全国に広めるためのツールに使って欲しい

「金沢ブランド」を全国に広めるためのツールに使って欲しい

── ビールに関してはいかがでしたか。

多々見
ビール・日本酒・ワインは、すべて醸造酒のくくりですので、自分の中では意外とすんなり受け入れています。ただ、私は日本酒しか詳しくありませんから、これからビールの知識をハイピッチで蓄えていかなければいけないと思っています。

── ビールにも凝りそうですね。ところで、金澤ブルワリーを通じて、どんなことに挑戦したいと考えていますか。

多々見
実はコロナ禍をきっかけに外販事業を始めたのですが、その時に物を売る楽しさを覚え、また、様々なノウハウを蓄積できました。それらを活かしつつ、新しい販路開発や、ブランドの再構築のための商品開発をしていきたいと思っています。

── 金澤ブルワリーのビールの特徴と、みんなに伝えたい魅力と楽しみ方を教えて下さい。

多々見
金澤ブルワリーのビールは、自社酵母から手作りをしているクラフトビールです。
また、金沢で初めて作られたクラフトビール会社として創業したので「金澤麦酒」という名前を付けられたのは、他には絶対にない強みだと自負しております。 金沢には優れた技術を持つ工房や銘店が沢山あり、一種の金沢ブランドを形成しています。 金澤ブルワリーのビールも、全国に金沢ブランドを広めるための一つのツールとしていただけるようになればと思っております。

── 最後にお客様へのメッセージと多々見社長の考える金沢の魅力をお願いいたします。

多々見
ハレの日も日常にも寄り添える金澤麦酒をぜひ味わってみてください。 金沢の魅力は新しさと伝統が交わってとてもバランスの良いところだと思います。 また食の美味しさはどこにも負けません。海にも山に水や人にも恵まれた素晴らしい魅力があります。 ぜひ、金沢の魅力とクラフトビールを楽しむために遊びにきてください。

── ありがとうございました。

社長の多々見まみのさん

アクセス

店舗名
金澤ブルワリー 金沢醸造所
住所
〒921-8173 石川県金沢市円光寺3-1-5
電話番号
076-201-0500
営業時間
月曜日~金曜日
9:00~16:00
定休日
土・日・祝

店舗名
金澤ブルワリー 能登島醸造所
住所
〒926-0216 石川県七尾市能登島曲町54-1
(のとじま水族館前)
電話番号
0767-84-0075
営業時間
月曜日~金曜日
9:00~16:00
定休日
土・日・祝